雑記帳

反発係数 (COR: Coefficient of restitution)

反発係数 (COR: Coefficient of restitution) とは 2物体間 に定義される「跳ね返っていく速さが向かってくる速さと比べてどの程度減少するのかを表す倍率」と捉えるとわかりやすい。単なる一つの倍率だけで衝突前後の速さの変化をモデル化することに対して、大雑把だしリアリティに欠けるのではないかと予想するかもしれないが、実はかなりそれっぽい出力を提供してくれる便利な量になっている。
※向かってくる速さや跳ね返っていく速さというのは、速度の接触面(分離平面)の法線方向成分。
定義の通り、反発係数は物体それ自体に付随するパラメータではなく、2つの物体の間に与えられるパラメータである。
例えば
  • ボール1
  • ボール2
  • 床A
を登場人物として考えるのであれば、
  • ボール1と床Aとの間の反発係数
  • ボール2と床Aとの間の反発係数
  • ボール1とボール2との間の反発係数
の3つが必要になる。
2つの剛体の衝突前の速度を \(\boldsymbol{v}_1\), \(\boldsymbol{v}_2\)、衝突後の速度を \(\boldsymbol{v}_1'\), \(\boldsymbol{v}_2'\)
剛体 \(i\) からみて外側を向く接触面の法線を \(\boldsymbol{n}_i\) とする。
上で説明したことを数式でそのまま表現すると
1. 剛体 1 を基準に考えれば、
\[ \boldsymbol{n}_1\cdot(\boldsymbol{v}_2'-\boldsymbol{v}_1')=-e\boldsymbol{n}_1\cdot(\boldsymbol{v}_2-\boldsymbol{v}_1 ) \]
2. 剛体 2 を基準に考えれば
\[ \boldsymbol{n}_2\cdot(\boldsymbol{v}_1'-\boldsymbol{v}_2')=-e\boldsymbol{n}_2\cdot(\boldsymbol{v}_1-\boldsymbol{v}_2 ) \]
となる。
敢えて書くまでのことではないかもしれないが
\[ \boldsymbol{n}_2=-\boldsymbol{n}_1 \]
なのでもちろん両式は等価な式になる。