雑記帳

線形空間 V の外冪

(線形代数シリーズロゴ)
(扱う集合に具体集合ではなく抽象集合の方を採用している都合で、当たり前にしてよさような操作についても慎重に確認を行いながら議論を進めていく。)
イメージ
交代多重線形写像版
余談
ここでは圏論的な視点にウェイトを置いているため、双線形写像の記号は「単なる線形写像と見間違いやすい記号 \(f:V\times W\rightarrow L\)」ではなく「多重圏の射としての記号 \(f:V,W\rightarrow L\)」の方を採用している。
外冪の構成
具体的な構成方法
ここでは定番の構成方法と思われる、テンソル冪の特定の部分線形空間を一点に潰した商空間として構成する。
..
冪を構成する際に注意しなければいけないのは、記号が同じであるため紛らわしいが、\(\otimes:U(V^{\otimes n})\times U(V)\rightarrow U(V^{\otimes n+1})\)\(\otimes:U(V^{\otimes n+1})\times U(V)\rightarrow U(V^{\otimes n+2})\) は一般に写像として異なるという点である。
つまり例えば
\[ ((((x_0 \otimes x_1) \otimes x_2) \otimes x_3) \otimes x_4) \otimes x_5 \]
という式に対して、いつものように自然数対象公理を用いて「任意の自然数 \(n\) に対してテンソル積を再帰的に定める」というのはできない。(...)
(線形結合の場合は、\(+\) が全て同じ写像であったため問題なく記述できたが、この場合はそれぞれの \(\otimes\) が全て異なる (平行ですらない) 写像であるため、全く同じようにはいかなくなる。)
ということで、ここではテンソル冪 \(V^{\otimes n}\)
「普遍多重線形写像 \(\otimes:U(V)^{[n]}\rightarrow U(V^{\otimes n})\) を備える対象 \(V^{\otimes n}\)
(普遍射のドメインを積集合ではなく指数集合の形として与えているのは、外冪の構成を行いやすくするための小細工)
「任意の自然数 n に対して "一般的に書くこと" ができなくても、有限である以上」
外冪の構成を始める前に、現段階で手元にある重要な写像をまとめておく。
\[ \begin{align} u&:U(V)^{[n]}\rightarrow U(V^{\otimes n}) \\ i&:[n]\rightarrow {\mathbb{N}} \\ \end{align} \]
(言うまでもないかもしれないが、真理値対象周辺の論理演算や自然数対象周辺の加法や順序なども)
aa
\[ P(z) \Leftrightarrow \exists \xi [\exists n [z = \sum_{k=0}^n {\rm prj}_1(\xi_k)\cdot {\rm power}({\rm prj}_2(\xi_k))]] \]
に加えて \(a:={\rm prj}_2(\xi_k)\) に対して
\[ \exists\langle i,j \rangle:([n]\times[n])[i<j \wedge a_i = a_j] \]
という条件、つまり「テンソル冪のベクトルを与える要素の族の中に、少なくとも一つは重複が存在すること」が課される。
aaa
一つの疑似論理式にまとめると以下のようになる。
\[ P(z) \Leftrightarrow \exists \xi [\exists n [z = \sum_{k=0}^n {\rm prj}_1(\xi_k)\cdot {\rm power}({\rm prj}_2(\xi_k)) \wedge \forall k:{\mathbb{N}}[k \le n \Rightarrow \exists\langle i,j \rangle:([n]\times[n])[i<j \wedge ({\rm prj}_2(\xi_k))_i = ({\rm prj}_2(\xi_k))_j]]]] \]